全日本ラリー新城:初日の3SSを制したコバライネンがトップ – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー新城:初日の3SSを制したコバライネンがトップ

©Jun Uruno / JN-1クラス首位のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

全日本ラリー選手権第1戦新城ラリーは、3月19日(土)の競技初日を終えてシュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣がJN-1クラスの首位に立っている。2番手には同じくシュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子、3番手にトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介がつける展開となった。

競技初日に設定されたのは、3SS、SS走行距離32.46km。ステージは新城ラリーの代名詞とも言える雁峰林道と本宮山スカイラインを使用するが、今年は雁峰林道を逆走で使うなど、例年とは異なるルート設定とし、長年新城ラリーに参戦する選手たちにとっても新たなトライとなる部分が大きい。ラリーは前日降った雨により、ウエットコンディションに。特に雁峰林道は林に覆われており、昼までも薄暗い場所があるほど。晴れたとしても日当たりが悪く、路面が容易には乾かないことが想像された。スタート前の選手たちからも、その難しさを警戒する声が聞かれた。

JN-1クラス首位のヘイキ・コバライネン(シュコダ・ファビアR5) / Naoki Kobayashi


トップカテゴリーのJN-1クラスは、シュコダ・ファビアR5、トヨタGRヤリス、スバルWRX STIという4WDターボ車が鎬を削る激戦区。JN-2クラスで前年度のチャンピオンを獲得したコバライネンが今シーズンのJN-1クラスに参戦することも、大きな話題を呼んだ。昨年GRヤリスでチャンピオンを獲得した勝田、ファビアR5を駆る福永、スバル勢の新井敏弘/田中直哉、鎌田卓麻/松本優一、GRヤリスで2年目のシーズンを迎える奴田原文雄/東駿吾らがこれを迎え撃つ構図だ。

初日の舞台となるのは、SS1/3が雁峰林道を使う『雁峰北リバース(12.75km)』、SS2が本宮山スカイラインを使うハイスピードステージ『鬼久保(6.96km)』。好天に恵まれたものの、やはりSS1はウエットコンディションとなり、グリップ不足に多くの選手が頭を悩ませる展開となった。ここでのベストタイムはコバライネン。SS2番手タイムの鎌田に4.3秒差をつけて、序盤からリードを築くことに成功した。福永はSS3番手タイム、勝田がSS4番手タイムで続く。SS2は、一転してドライコンディションに。JN-2クラス時代からこのステージを得意とするコバライネンはフルアタックで一番時計をマークし、リードを拡大。SS1で6番手と出遅れた新井は、フロント2輪にドライタイヤを装着して挽回を試みるも、バランスを欠いてしまいポジションアップは叶わなかった。

サービスを挟んで行われたSS3は、SS1の再走ステージ。午後に入り路面の乾きが進み、ウエット路面向けのセットアップやタイヤで挑んだ選手は思うような走りのできないシーンがみられたが、コバライネンはここでも後続を引き離すタイムをたたき出し、初日の3SSすべてでベストタイムを刻んでみせた。SS2番手タイムは、昼の45分サービスでトランスミッション交換を敢行した奴田原。SS3番手タイムは福永がマークした。初日を終えた段階で、総合タイムではコバライネンがトップ、23.1秒差の2番手に福永、29.7秒差の3番手に勝田というオーダーとなった。

コバライネンは「トップにいるけれど、僕のターゲットは最初から完走することだ。正直、リードできるとは思っていなかったし、驚いているくらいだよ。特に雁峰のステージでは1回のミスですべてが終わってしまうから気をつけないとね。とにかく一番大事なのはフィニッシュすることだ」と、笑顔でこの日を振り返った。

JN-2クラス首位の中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) / Jun Uruno


JN-2クラスはトヨタGT86 CS-R3の中平勝也/島津雅彦と、新たにトヨタGRスープラを持ち込んだAKIRA/美野友紀による一騎打ちとなった。AKIRAのGRスープラはほぼシェイクダウンということもあり、タイム的には中平が3連続ベストで大きなリードを築いて初日を終えている。

ただ中平本人としては「滑る雁峰に合わせられず、全然うまく走れていない状態ですね」と、いまひとつ納得のいかない様子だ。「明日はドライ用のセッティングで走るので、いいタイムで走れるはずです」と、最終日に向けて意気込みを語った。一方のAKIRAは、「まだテストの延長みたいなもので、楽しく走っています。エンジンが吹けなくなってしまうなど、色々制御が入ってしまっています。(去年まで乗っていた)86と違って振り回せないので、雁峰のような小さなコーナーは苦手ですね。走らせ方が独特です」とスープラの印象を語る。

JN-3クラス首位の竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) / Jun Uruno


新型スバルBRZやトヨタ86が参戦するJN-3クラスは、昨年の最終戦から新型BRZを投入している竹内源樹/木村悟士がリード。3SS中2SSでベストタイムをマークし、総合タイムでクラス2番手の山口清司/漆戸あゆみ(トヨタ86)に対して27.8秒のマージンを稼ぎ出した。クラス3番手には、1シーズンぶりにトヨタ86で参戦する山本悠太/立久井和子がつけている。山本はシーズン中にはGR86を投入予定のため、現在は旧型での参戦となっている。

首位に立った竹内は、「最初のセクションは新型でタイムが出るか、分からないまま、疑心暗鬼で走ったんですが、その中でプッシュしました。コントロール性の良さ、安心してコーナーに入って行けるところが、だいぶアドバンテージになったと思います。明日の雁峰は狭くて泥が乗っていたりするので、注意が必要ですね」と手応えを語っている。サービスアウト後にエンジンの調子が悪くなってしまったと語る2番手の山口は、「SS1では思った以上に滑って、土手に当たってしまいました。最後はトップに数秒追いつきませんでしたが、戻ってこられて良かったです」とコメント。3番手の山本は「思った以上にタイム差が離されてしまいましたね。ほとんどセットアップを変えられなかったのですが、午後のセクションでは路面が良くなって、クルマの動きが分かるようになりました」と、初日の走りを振り返った。

JN-4クラス首位の筒井克彦/古川智崇(スズキ・スイフトスポーツ) / RALLY PLUS


JN-4クラスは、3台のスズキ・スイフトスポーツによる争い。前年度チャンピオンの西川真太郎/本橋貴司がSS1で側溝に落ち、復帰に手間取り大きくタイムロスを喫するという波乱のスタートとなった。これにより、ラリー直前の火曜日に出来上がったばかりのマシンで出走した筒井克彦/古川智崇がクラストップに。クラス2番手には奥村大地/Jacky、3番手に西川という順位となったが、首位筒井と2番手奥村は1分以上、筒井と西川は24分以上の差が開いてしまっている。

筒井は、「まだ練習の段階なのですが、西川選手の脱落もあって、トップをもらいました。午後はクルマに慣れてきて、路面もかなり良くなったので、20秒くらいタイムを上げられましたね。明日は1分以上マージンがあるので、リスクを避けて走ります」と語っている。2番手の奥村は「あまりタイヤをうまく使いこなせませんでした。自分としてもショックです。明日はタイヤを変更して、今後に使えるデータをしっかり取りたいです」とコメント。3番手の西川は「SS1後半で早速滑って、側溝に落ちてしまいました。路面がヌルヌルで、完全に自分のミスです。丸太をかませて、ジャッキで上げて……なんとかリタイアせずに済みました(笑)。明日は今日みたいなことが起きないように、確実にレグポイントを狙います」と語った。

JN-5クラス首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) / RALLY PLUS


トヨタGRヤリスRSとトヨタ・ヤリスCVTがメインの参戦車種となるJN-5クラス。SS1を制して主導権を握ったのは、前年度チャンピオンの天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)だ。SS2とSS3は、同じくトヨタGRヤリスRSを駆る大倉聡/豊田耕司がベストタイムを獲るものの、天野はSS1で稼いだマージンが活きてクラス首位をキープ。16.7秒差で大倉が続く格好となった。大倉から33.3秒離れ、ヤリスCVTの渡部哲成/橋本美咲がクラス3番手で続く。SS1ではJN-5クラスで転倒車がありコースを塞いだため、後続の選手にはノーショナルタイムが与えられている。

「クルマは、低重心化を進めたりロールバランスを変えるなど、改良を施しています。パワーは大きく上げられないので、コーナリングで稼げるクルマですね。SS1では新しいサイズのタイヤを投入する作戦が当たりましたが、トータルでSS1のマージンを吐き出してしまいました。明日もリスク取らずに色々と試していきたいです」と天野はコメントしている。対する大倉は「SS1の差が大きすぎましたね。明日の路面が読めないので、戦略を立てるのも難しいです。とはいえ、CVTの制御を含めクルマも進化していますから、追いつけないタイム差ではないと思っています」と、諦めてはいない。3番手の渡部は「SS3でタイムアップはできましたが、先輩方ふたりに水をあけられてしまいました。明日は気温を見つつ、タイヤやセットアップを考えます」としている。

JN-6クラス首位の海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) / Jun Uruno


JN-6クラスには2台のヤリスとヴィッツが参戦。3台ともSS1でノーショナルタイムが与えられたため、実質的にSS2と3の2本で争われるかたちとなった。SS2を獲ったのはヤリスCVTの佐藤セルゲイビッチ/明治慎太郎。1.2秒差のSS2番手タイムにヴィッツの海老原孝敬/蔭山恵が入った。サービスを挟んだSS3では、海老原が好走を見せて佐藤を大きく引き離すことに成功。これでクラス首位は海老原、2番手に佐藤という順に。クラス3番手はヤリス・ハイブリッドを走らせる奥田道裕/阿部琢哉。奥田はSS2でブレーキトラブルに見舞われたが、サービスで無事に修復を果たした。

海老原は「クラストップは取れて良かったです。明日はこのまま長所を活かして頑張ります。セットアップは良いので、タイヤを変えるのみですね」とコメント。26.4秒差で海老原を追う佐藤は「ちょっとスピードが全体的に足りないですね。タイヤの限界値を使えていないのと、ペースノートを作りきれていないのが大きいです。明日はクルマよりもドライビングを修正して、リスクを考えつつ、もう少しプッシュしたいです」と意気込みを語る。3番手の奥田は「まずは無事に帰ってこられて良かったです。タイム差が離れているので、しっかり走り切りたいですね。トラブルも解消されましたし、最後の鬼久保は楽しみたいです」とコメントしている。

3月20日(日)の競技2日目は、3SS、SS走行距離31.16kmという設定。SS4/5『雁峰中リバース(12.75km)』と、SS6『鬼久保(6.96km)』という内訳となっており、SS4とSS5の間には45分間のサービスが設けられる。

新城ラリー SS3後結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 27:31.2
2 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +23.1
3 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +29.7
4 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +34.0
5 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +37.8
6 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +58.9
7 竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) +1:57.2

12 天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) +2:29.7
18 中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) +3:32.0
25 筒井克彦/古川智崇(スズキ・スイフトスポーツ) +4:40.2
28 海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) +4:50.9



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