MONTRE 2022

開催日時:6月10日(金)〜12日(日)
開催場所:群馬県富岡市
スペシャルステージ本数:10本
スペシャルステージ総距離:125.54km
ラリー総距離:455.01km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ウェット/ドライ
ポイント係数:1.2

群馬県富岡市を拠点に開催されたアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)アジアカップ第2戦、および全日本ラリー選手権第5戦モントレーは、6月12日(日)にすべての競技を終えて、シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣が両部門でトップ。APRCで初勝利、全日本ラリーではシーズン4勝目を飾った。

APRCの2位にはトヨタC-HRのマイケル・ヤング/エイミー・ハドソン、同3位はスバルWRX STIの青山康/竹下紀子。全日本では、トヨタGRヤリスの眞貝知志/安藤裕一が自身初のJN-1クラス2位表彰台を獲得、3位にはトヨタGRヤリスの柳澤宏至/加勢直毅が1年ぶりの表彰台を獲得する結果となった。

今回のラリーは全8戦で争われる全日本ラリーにとって後半戦のスタートであり、開幕戦から続くターマック5連戦の締めくくりとなる。ラリーの拠点は富岡市の群馬サファリパークに置かれ、ステージは群馬県南西部のエリアを中心に設定された。また、モントレーとしても3年ぶりに有観客ラリーとして、観戦可能なSSを設けたほか、群馬サファリパークの駐車場にはスバルやラリージャパンがブースを出展するラリーパークも展開された。梅雨時ということや、変わりやすい山の天気に加え、特にSS1〜SS2については路面の荒れているセクションが多く、レッキを終えたドライバーは警戒感を隠さない。11日(土)8時、ラリーは群馬サファリパークのゲートからスタート。SSの路面は乾きかけている部分や湿った部分が混在し、ひと筋縄では行かない状況だ。

レグ1

オープニングステージとなった7.54kmのSS1は、前戦からセットアップを大きく変えてきたスバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉が、SS2番手のコバライネンに1.8秒差をつけて今シーズン初のベストタイムをたたき出す快走を見せた。ところが続くSS2、新井は右コーナーでアウト側に膨らみ、ガードレールにヒット。マシンは再出走が不可能なほどのダメージを受けてしまい、新井の地元ラリーはここで終わることとなってしまった。このSS2では勝田範彦/安藤裕一(トヨタGRヤリス)が一番時計をたたき出してJN-1クラス首位に躍り出るが、その勝田も続くSS3で立ち木にヒット。足まわりなどにダメージを受け、レグ離脱を余儀なくされた。代わってトップに立ったのはシュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子。SS3、SS4とラリーをリードするが、SS5ではパンクを喫してステージ中にタイヤ交換を実施したため、大きくタイムを失うこととなってしまった。ここで、SS2でパンクを喫し後退していたコバライネンがJN-1クラスの首位に浮上。SS3〜6を4連続ベストタイムでまとめ、クラス2番手の眞貝に1分21秒2差をつけて初日を終えた。この日は上位陣にもトラブルが続出。SS2では奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)がミッショントラブルで戦線離脱、スバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一も複数回のパンクを喫して5番手と苦戦を強いられている。

首位で初日をまとめたコバライネンは、「SS5では右コーナーアウト側のガードレールにぶつかってしまったけど、ほとんどダメージもなくてラッキーだったよ。SS2/5は路面が悪く、とにかくスローペースで走った。もうレッキのような感じだね(笑)。タイヤ戦略を変えて、SS6でフロントにドライを履いたのはいいチョイスだった。大きなマージンを得たけれど、まだ距離は残っているし、気は抜かずにいくよ」と、振り返っている。2番手につける眞貝は「SS2は慎重すぎましたね。ミスしてはいけないと思って、だいぶゆっくり走ってしまいました。午後にはアライメントを変更して、自分的にはペースを上げられました。トップとは差がありますが、いいセットアップが見つかったと思います。ペースノートを再確認して、明日もしっかり危ない箇所を避けたいと思います」と手応えをみせる。3番手の柳澤は「今回のクルマは色々とアップデートされていて、初めて乗った時よりもずいぶん良くなっている印象です。明日は残り4本ですが、トラブルに見舞われないように、大切に走りたいです。自分がミスしないように気をつけます」と慎重なコメントを残している。

JN-2クラスはGRスープラのAKIRA/美野友紀がオープンクラスに変更したため、トヨタGT86 CS-R3の中平勝也/島津雅彦と、ルノー・クリオ・ラリー4の横嶋良/小藤桂一による一騎打ちに。とは言え、横嶋は今回がクリオでの初参戦ということもあり、クルマの素性をチェックしながらの走行。このクラス以降はSS6が安全上の理由でノーショナルタイムが与えられたこともあり、実質5SSでの戦いとなったが、ここまで4連勝を挙げている中平が5SSすべてでベストタイムを刻む結果となった。

中平は「すごく大変な道でしたが、リスクを避けて帰ってくることができました。SS6がスルーになってしまい不完全燃焼でしたが、ともかく1日を無事に走れたので、良かったです。明日のSS8/10は全日本のターマックで一番好きなコースなので楽しみです。ハイスピードでタフですが、攻略できた時に達成感がありますね」とコメント。横嶋は「今回はクルマに慣れることが一番の目的です。路面は悪いですが、クルマがいなしてくれるというか、ノートでギャップがあるところも普通に走ってくれるので、ポテンシャルを感じました。午後はSS4でちょっとミスもありましたが、明日もまた新しいことにトライしてみたいです」と充実した笑顔を見せた。

新旧の86/BRZが鎬を削るJN-3クラスは、新型SUBARU BRZの竹内源樹/木村悟士がトップ。2番手に久保凜太郎/大倉瞳、3番手に加納武彦/横手聡志とBRZ(ZC6)勢が続くかたちとなった。4番手にはマツダ・ロードスターの八田新一/加藤芳皓がつけている。トヨタGR86の山本悠太/立久井和子は、SS1とSS2で連続ベストタイムをマークしたがSS3でスピン。バンパーが外れてしまったためナンバープレートのない状態でリエゾンを走ることができず、ここでレグ離脱となった。このSS3では新型BRZを投入した上原淳/漆戸あゆみがクラッシュ、リタイアとなっている。

首位の竹内は「周りのトラブルもあって、午前中の時点でクラストップに立ち、気を抜かずにしっかり走ることができました。2SSでクラスベストをマークすることもできたので、上出来ですね。後ろとは少し差がありますが、明日も20km超えが2回あるので、コンスタントなペースで走りたいと思っています」とコメント。2番手の久保は「離されても無理せず、リスクを避けて走っています。それでもブレーキが危ない場面もありましたし、難しい路面でしたが戻ってこられて良かったです。明日は観戦エリアのあるSSは全力でいきます(笑)」と笑顔を見せた。3番手の加納は「ラッキーもありますが、これもラリーですね。明日はウエットセットにウエットタイヤで行こうかと思っています。山の天気なので安全策をとります。生き残りたいので(笑)」と、明日に向けての展望を語っている。

スズキ・スイフトスポーツによるバトルが展開されているJN-4クラス。このクラスでは、クラッシュした車両の影響でSS3の途中で停車した(その後ノーショナルタイムが与えられた)ほか、SS6ではスルー走行となったため、実質的に4SSでの戦いとなった。結果、西川真太郎/本橋貴司がラリーをリード。2番手の須藤浩志/新井正和に31.5秒差をつける力走を見せた。その須藤から37.9秒離れた3番手に筒井克彦/古川智崇が入っている。筒井の背後6.7秒差で奥村大地/Jacky、奥村の後ろ5.7秒差で岡田孝一/河本拓哉が続いており、3番手争いは予断を許さないような状況だ。

クラストップの西川は、「ドロドロの道は正直なところ苦手なんですが、予想以上にタイヤのグリップが良くて、そこで差をつけられた気がします。このまま調子に乗らず、セットアップをいじらずに頑張ります」と手応えを覗かせる。2番手につける須藤は「なんとか西川選手と同じタイムは出したいと頑張りましたが、ひっくり返すことはできませんでしたね。フロントに15インチを履いてみましたが、懐は深いものの、ちょっと剛性感が足りないですね。上も下も離れているので、明日は自分としてのベストを尽くします」と、225/50R15というサイズのタイヤで新たな方向性を探る。3番手の筒井は「SS4はベストが獲得できました。86に乗っていた癖がまだ残っているんですが、それを修正して、低速コーナーを突っ込み気味に変えたのが良かったかもしれません」と初日のドライビングを振り返った。

JN-5クラスはトヨタ・ヤリスが上位を占めるかたちとなった。このクラスも実質的に4SSでの戦いとなったが、その4SSすべてでベストタイムをマークしたのは小濱勇希/橋本美咲。2番手の小川剛/梶山剛に20.4秒差をつけてクラス首位に立っている。2番手の小川から8秒後方の3番手には、小濱のチームメイトである渡部哲成/佐々木裕一がつける展開だ。ここまで4連勝を続けていた天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)は上り主体のコースと路面の悪さに思うようなスピードを発揮できずに苦戦。マシンにも不具合が見られ、4番手にとどまっている。

小濱は「泥が出ていたり、舗装が剥がれて段差が出ていたり、本当にターマックなのかというほど荒れた路面でした。でも丹後の後でチームがテストを実施してくれて、そのおかげでタイムが出せました」と笑顔を見せた。2番手の小川は「荒れた路面だったので、大変でした。制御が走ってしまう局面が多くて、それが改善できれば、もっとペースアップできるんでしょうが、なかなか難しい」とのこと。タイヤは路面に合っているけど……と難しい表情で振り返った。3番手の渡部は「離されてはいますが、1kmあたり1秒詰めることができれば、優勝も狙える位置です。このまま大人しく小濱先輩を勝たせるつもりはないので(笑)、頑張って捉えにいきます」と、力強いコメントを残した。

JN-6クラスはトヨタ・ヴィッツの海老原孝敬/蔭山恵がクラス首位を快走。2番手の木村謙治/多比羅二三男(ホンダ・フィット)に対して1分54秒1と大きなリードを築くことに成功した。3番手はマツダ・デミオの中西昌人/有川美知代。実質4SSでの戦いとなったが、ここまで4連勝中の海老原が4連続ベストでまとめ、大きなマージンを稼ぎ出すことに成功した。SS2終了時点では中西が2番手につけていたものの、その後は木村が逆転し2番手に浮上している。

トップで初日をまとめた海老原は「濡れているだけでなく、砂利や泥で思った以上に滑る路面でした。足まわりを柔らかくしてきたんですが、それでも対応しきれない感じですね。ただ、午後は一部で雨が降ったこともあって、タイヤは合っていました」と、タフな初日を振り返った。2番手の木村は「このクルマではシェイクダウンもできなくて、ぶっつけ本番です。SS5は順調にスタートはうまくいったのですが、ワイパーがなくなってしまったり、パンクもあり大変でした」と語る。前戦で出ていた制御のトラブルは改善しつつあるという3番手の中西。「SS4は上りは速かったんですが、その後は波に乗れない感じでした。30秒以上開いてしまっていますが、1kmあたり1秒詰められるよう頑張ります」と最終日のポジションアップに意気込みを見せた。

レグ2

JN-1クラス、オープニングのSS7を制したのは眞貝。0.76kmと短いコースのため大きなタイム差はつかなかったものの、JN-1クラスでキャリア初のベストタイムをマークした。このSSでは、前日4番手につけていた三枝聖弥/石田裕一(スバルWRX STI)が「順位を意識しすぎてしまった」とクラッシュ、リタイアを喫している。続くSS8〜10はいずれもコバライネンが制し(SS9はシュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子も同タイムをマーク)、後続との差をさらに拡大してシーズン4度目の栄冠を勝ち獲っている。眞貝と2番手を争う柳澤は、SS8でその差を0.4秒まで詰めることに成功するが、続くSS9で駆動系のトラブルが発生。短いSSであったこととサービスまでの移動区間が短かったことが幸いし、チームは応急処置を施し、柳澤を再び送り出すことに成功した。柳澤は最終SSを慎重に走り切って3位を守り、2020年モントレー以来の表彰台を獲得している。4位には上位タイムを並べた福永、5位にトヨタGRヤリスの徳尾慶太郎/石田一輝が入っている。

これで今季4勝を挙げたコバライネンは「全日本だけでなくFIAイベントで勝てたこともうれしいね。昨日はトリッキーでダンプなコンディションから、今日はドライになった。セットアップをうまく調整してくれたチームとメカニックにあらためてお礼が言いたいね。前回から進化した実感がある」と、手応え。今後のグラベルラリーについては「ファビアではグラベルをあまり走っていないから、どんな状況になるかまだ分からない」としている。2位の眞貝は「自己最上位の2位は、すごくうれしいです。乗りやすいマシンを用意してくれたチームやパートナーの皆さんに感謝しています。今回はトップ選手ですら落ちてしまう罠がある難しいラリーでしたが、僕はリスクを避けるためのマージンを大きくとっていたこともあり、そのような運に助けられた部分もあると思います」と、笑顔を見せた。3位の柳澤は「満身創痍ですが、応急処置でなんとかゴールできましたね。最後はフィニッシュまで持ち帰ることだけを考えて走りました。クスコ・レーシングの総合力を感じましたし、今回のラリーで全車が完走することができました」と安堵の表情。

JN-2クラスは中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)がきっちりと走り切り、今シーズン5勝目を獲得。ラリー終了時点でチャンピオン獲得に王手をかける結果となった。2番手を走行していたルノー・クリオ・ラリー4の横嶋良/小藤桂一は、最終SSでコースアウトを喫し、クルマはコース復帰ができない状態に。「様々な路面で経験を積むことが目的」と語っていただけに、残念なリタイアとなってしまった。

これでシーズン5連勝、レグ別得点を含め全戦でフルポイントを重ねている中平は「とても難しい道でしたが、無事に帰って来ることができて、ひとまずはホッとしています。ダンロップの新しい201Rは、幅広い状況の路面に対応できるので、それに助けられた感じもします。次戦のカムイはグラベルラリーですが、グラベルはグラベルでまったく違う難しさがあるので、気持ちを切り替えて頑張ります」と、語っている。

新旧のスバルBRZ勢がトップ3を占めていたJN-3クラスは、上位に順位の変動はなく、BRZが表彰台を独占する結果となった。竹内源樹/木村悟士が今シーズン3勝目、2位には初の表彰台となる久保凜太郎/大倉瞳、3位には2018年のモントレーで勝利して以来の表彰台という加納武彦/横手聡志が入っている。前日4番手につけていたマツダ・ロードスターの八田新一/加藤芳皓は、SS8でメカニカルトラブルに見舞われて戦線離脱。初日にパンクで順位を落としていたトヨタ86の山田啓介/藤井俊樹がポジションを上げ、4位でフィニッシュしている。山田はこの日の4SSすべてでベストタイムをマークする力走を見せ、レグ別得点3点を獲得している。

勝利を挙げた竹内は「初日の段階でクルマを傷めず、コンスタントに走ってマージンを作れたのが良かったですね。タイム的にも悪くありませんし、完璧なラリー運びができたと思います。5戦中3勝できたので、カムイでもしっかりポイントを獲得できたらと思っています」と、振り返った。次戦のグラベルについては旧型BRZで出場する可能性も検討しているという。2位の久保は「初の表彰台です。初日を乗り越えられたのが大きかったですね。淡々と走れたのが良かったと思います」と笑顔を見せた。3位の加納は「久々の表彰台なのでうれしいです。最後は安全運転気味でした(笑)。BRZで1-2-3というのもうれしいですね」と語っている。

スズキ・スイフトスポーツが争うJN-4クラスは、西川真太郎/本橋貴司がクラス3連勝を達成。レグ別得点も3点獲得し、フルポイントを重ねることに成功した。2位には須藤浩志/新井正和が入り、3番手争いを制した筒井克彦/古川智崇が3位を獲得している。前日4番手につけていた奥村大地/JackyはSS8で横転を喫してリタイアとなり、4位には岡田孝一/河本拓哉、5位に桜井一裕/白水順一が入っている。西川は4SS中3SSでベストタイムを刻み、2位須藤との差を拡大してフィニッシュ。その須藤もSS7では西川と同タイムのベスト、SS9では単独ベストタイムをマークするなどスピードを見せた。

優勝した西川は「天気にも恵まれ、タイヤ選択がうまくいきました。まだ課題はありますが、結果だけは残すことができて良かったです。次は苦手なグラベルラリーなので、手堅く完走できるように挑みたいです」とコメントしている。2位の須藤は「タイヤを4本しか使わず、エコなラリーでした。最後がドライになって、横剛性の面でタイヤの苦手なシーンが出ましたけれど、その辺りが積み重なってしまいましたね」と、ラリーを振り返った。3位に入った筒井は「ロングステージはベストを狙ってプッシュしましたけど、少し足りませんでしたね。クルマにはかなり慣れてきました」と、コメント。今季残り全戦に出場予定とのことだ。

トヨタ・ヤリスによる上位争いが展開されているJN-5クラスは、小濱勇希/橋本美咲が今季初優勝。2位にチームメイトの渡部哲成/佐々木裕一、3位に小川剛/梶山剛という展開になった。4位には小川と6.6秒差で天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)が入っている。この日は首位を走る小濱に渡部が食らいつく展開となった。渡部はSS8でベストタイムをマークし、この日のスタート時点で28.4秒あった小濱との差を8秒にまで詰めることに成功。しかしSS9、SS10と小濱のタイムを上まわることはできず、最終的に9.5秒差でフィニッシュしている。

小濱は「RJ車両になっても勝つことができてうれしいです。渡部選手を上まわるタイムを出さないと勝てないと思ったので、気持ちで押し切りました。チームがクルマを良くしてくれたので、それに報いたいという想いで勝てたのだと思います。全日本は2020年の唐津で勝って以来ですね」と力強くコメント。一方の渡部は「チームとしては1-2フィニッシュは最高ですが、自分としては詰め切れずに悔しいです。でも出し切りました。もっと精進します」と、悔しさを隠さない。3位の小川は「最終SSでは雨が降ると踏んで、新品のウエット用タイヤで行ったら、向こうはピーカンで(笑)。参りましたが、なんとか3位は死守できました。クルマの特性や制御の入り方もだいぶ分かってきましたね」と振り返った。

JN-6クラスは首位の海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ)が前日からのリードを拡大して今シーズン5勝目を獲得。2位に木村謙治/多比羅二三男(ホンダ・フィット)、3位に中西昌人/有川美知代(マツダ・デミオ)が入った。ギャラリーステージのSS7とSS9は中西が制したが、SS8/10のロングステージは海老原がベストタイムでまとめ、勝利を確実なものとした。海老原もレグ別得点を含め取りこぼしなく5連勝を飾っており、JN-6クラス王座を射程に捉えた格好だ。

序盤はウエットタイヤで様子を見ながら入ったという海老原は「勝因は攻めすぎなかったことですね。思ったよりも路面が滑り、危ない場面もありましたが、なんとか形は保てたと思います。次のグラベルはそんなに得意ではないので、グラベルに合わせたセッティングを出せるようにしたいです。真面目に取り組んで、チャンピオンも確実に獲りにいきたいです」と、タイトルに向けて意気込みを見せた。3年ぶりの全日本出場となる木村は2位。「初めてのクルマで慣れない部分もあり、ロングステージでは15kmでブレーキがダメになって、最後の5kmほどはきつかったですね」と完走を果たした。3位の中西は「クルマの制御はブレーキやCVTオイルの油温を検知しているようで、それらが極力上がらないように対応したんですが。ある程度の効果は出ているみたいです。制御が入らなければ走れる感触だったので、グラベルはもうちょっと上の順位を狙いたいです」と語っている。

次戦は7月8日〜10日にかけて、北海道虻田郡ニセコ町を拠点として行われる「2022 ARK ラリー・カムイ」。2022年シーズン初のグラベルラリーで、10SS、SS距離78.34km、総走行距離398.06kmで争われる。昨年はトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が優勝しており、スバル勢の巻き返しにも注目が集まる。また、今回の結果を受けた加減重量は、1位のコバライネンが+30kg、2位の眞貝が+20kg、3位の柳澤が+10kg、4位の福永が-10kg、リタイアを喫した勝田が-30kgとなる(加算される重量の上限は+50kgまで、軽減される下限は当該車両の最低重量まで)。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN1-1 Heikki Kovalainen/北川紗衣 SKODA FABIA R5 1:39:38.6
2 JN1-2 眞貝知志/安藤裕一 TOYOTA GR YARIS 1:42:15.4
3 JN1-3 柳澤宏至/加勢直毅 TOYOTA GR YARIS 1:42:36.1
8 JN3-1 竹内源樹/木村悟士 SUBARU BRZ 1:46:52.8
10 JN2-1 中平勝也/島津雅彦 TOYOTA 86 R3 1:47:47.7
13 JN4-1 西川真太郎/本橋貴司 SUZUKI SWIFT 1:48:31.7
15 JN5-1 小濱勇希/橋本美咲 TOYOTA YARIS 1:49:45.6
28 JN6-1 海老原孝敬/蔭山 恵 TOYOTA VITZ 1:55:37.9

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

イベントフォト

JN1クラス優勝 Heikki Kovalainen/北川紗衣

JN2クラス優勝 中平勝也/島津雅彦

JN3クラス優勝 竹内源樹/木村悟士

JN4クラス優勝 西川真太郎/本橋貴司

JN5クラス優勝 小濱勇希/橋本美咲

JN6クラス優勝 海老原孝敬/蔭山恵