ツール・ド・九州2022 in 唐津

開催日時:4月1日(金)〜3日(日)
開催場所:佐賀県唐津市
スペシャルステージ本数:10本
スペシャルステージ総距離:67.80km
ラリー総距離:291.32km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.0

全日本ラリー選手権第2戦ツール・ド・九州2022 in 唐津は、4月3日(日)に競技最終日を行い、シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣が前戦に続きシーズン2勝目を獲得した。2位にはトヨタGRヤリスの奴田原文雄/山本磨美、3位には同じくトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が入っている。

第2戦は、開幕戦の新城ラリーから約1週間という短いインターバルを挟んで行われた。新城と同じ舗装路とはいえ、路面のグリップや道の性格は大きく異なり、各ドライバーともSSに合わせた車両セットアップを施してラリーに臨む。唐津市の南東部に広がるワインディングロードは、見通しの悪いロングコーナーやクレストなどもあり、ペースノートの精度がモノを言う。タイヤへの攻撃性が高いセクションもあり、ハイパワーな車両ではタイヤマネージメントも重要なポイントのひとつと言える。

ラリーは新型コロナウイルス感染拡大防止のため短縮日程が取られており、4月2日(土)の午後からスタートするスケジュールとなっている。1日(金)にはレッキ、2日(土)の午前中に選手を対象に救急救命講習会が行われた。そして2日の13時、市内を流れる松浦川の河畔にある競艇場『ボートレースからつ』の駐車場に設けられたサービスパークから、各選手はSS1へと向かってスタート。この日は4SS、2SSを2度リピートする構成で、34.22kmを中間サービスなしで走行する。なお、JN-1クラスは前戦のトップ3台に性能調整が加えられるため、今大会における最低重量は下記のようになる。
前戦1位:ヘイキ・コバライネン(シュコダ・ファビアR5)1260kg
前戦2位:福永修(シュコダ・ファビアR5)1250kg
前戦3位:勝田範彦(トヨタGRヤリス)1258kg

レグ1

今大会最多の15台がエントリーしたJN-1クラスは、コバライネンがSS1からベストタイムを連発。この日の4SSすべてを制して、2番手の奴田原文雄/山本磨美(トヨタGRヤリス)に20.6秒差、3番手の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス)に33秒の差をつけ、コバライネンがラリーをリードする。4番手には鎌田卓麻/松本優一、鎌田と0.5秒差の5番手に新井敏弘/田中直哉と、スバルWRX STI勢が続くかたちとなった。SS2終了時点で3番手につけていた福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5)はマシントラブルに見舞われ、SS3を走り切った時点でリタイア。翌日の再出走に向けてマシンをサービスに戻した。
トップを快走するコバライネンは「悪くない走りができたね。路面のグリップレベルはレッキの時のイメージほどは良くなかった。でもクルマやタイヤのフィーリングも良かったし、何よりミスなく走れたよ」と、余裕を感じさせるコメントで初日を振り返った。前戦でミッショントラブルに見舞われた奴田原は、今回対策を施したミッションを投入。「クルマもトラブルなく、ヨコハマタイヤも路面に合っているようで、いい走りができました。明日もノートラブルでいきたいですね」と笑顔で語った。3番手につける勝田は「SS1でプッシュしすぎて、タイヤをいためてしまいました。後半は足まわりを少し調整して、多少は良くなりましたが、だいぶ我慢の走りでしたね。SS4は頑張ったつもりだったんですが、なかなかタイムを削れませんでした」と苦笑い。翌日に向け、GRヤリスのセットアップをチームと話し合うと語った。

JN-2クラスは中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)がトップ。2番手には今シーズンからGRスープラを走らせるAKIRA/美野友紀がつける。日産フェアレディZでエントリーしていた山北研二/山﨑将史は不出走となったため、実質的に2台での争いだ。
首位の中平は、マイナートラブルに見舞われながらも全SSでクラスベストタイムをマークし、2WD全体でもトップに。「最初からトラブルが出てしまっているので、労わりながら走りました。トラブルが難しい場所で発生しているので、騙し騙し走ります。コースは楽しいです。特にSS2/4のUCHIURAは色々なコーナーがあって、路面のμも高いので、クルマをリズミカルに走らせられると楽しいですね」とこの日を振り返った。2番手のAKIRAは「開幕戦と比べると、コーナーの進入でクルマを信用して走れるようになりました。ただ、立ち上がりでエンジンがカブってしまうような症状が出るので、気持ち良く加速しないですね。それでも足まわりが決まってきたので、今後に向けたデータを残すべく、しっかり走ります」と手応えを語っている。

トヨタ86と新旧スバルBRZが走るJN-3クラスは、トップ5台が9.4秒差に並ぶ接戦が展開された。山田啓介/藤井俊樹、山本悠太/立久井和子、山口清司/漆戸あゆみの順で86勢が上位3台に並び、それをBRZの久保凜太郎/丸山晃助、新型BRZの竹内源樹/木村悟士が追う展開となっている。SS1ではブリヂストンタイヤを装着する久保がスピードを見せてSSベストタイムを獲得。SS2では山田、SS3では山口、SS4では山本と、それぞれ異なるドライバーが一番時計をたたき出している。
クラスのトップに立つ山田は「ここは路面μが高いので、自分の限界のところで走ろうと昨日から相談していました。それがうまく発揮できたと思います。ペースノートについても、これまで1年間地道にやってきたことが効いて、初めての道でしたが違和感なく走れました。明日もやることは変わらず、やるべきことをやります」と語る。2番手の山本は、「SS1/3のSANPOUが苦手なので、これくらいの差で抑えられて良かったです。いくつかクルマに不具合が出てしまっているので、サービスでなんとか対処したいですね」とコメント。「SANPOU以外は苦手ではないので」と、明日に向けて笑顔を見せた。3番手の山口は「久々の接戦ですね。2本目でタイムが落ちてしまい、これは離されたかなと思ったら、みんなも落ちていて。明日はコースのキャラクターが変わるのと、残された数少ないタイヤでどう戦うか考えます」と、振り返っている。

2019年のハイランドマスターズ(岐阜)以来の全日本ラリー参戦ながら、SS1ではベストタイムをたたき出した久保は4番手。「SS1は良くて、ほかの選手をちぎることができたんですが、タイヤをかなり使ってしまいました。SS2は抑えたもののミスが出てしまいました。それでリスクを避けて残りの2本を走った感じです。明日はしっかりとタイヤをマネージメントして、表彰台を狙います」と語った。今季は唐津のほか、久万高原、丹後、モントレーとハイランドに出場を検討しているという。

スズキ・スイフトスポーツが上位争いを繰り広げるJN-4クラスは、黒原康仁/松葉謙介がトップ。6.1秒差の2番手に西川真太郎/本橋貴司、8.2秒差の3番手に鮫島大湖/船木佐知子がつけている。SS1で鮫島、SS2とSS4で西川、SS3で黒原とベストタイムを分け合う展開となったが、コンスタントに好タイムを並べた黒原がトップに立った格好だ。
2021年5月以来の全日本ラリーとなる黒原は、「得意な方の道なので、丁寧に頑張って走りました。明日はちょっと苦手な道なので不安ですが、ショックを変えてすごく動きがいいので、楽しみにしています。クルマのセットアップはこのままで、無理せずに走ります」と、語っている。2番手の西川は、「得意と思っていたSANPOUでやられてしまって、逆にUCHIURAでむしろ調子が良かったです。6.1秒差なので、作戦を練って逆転したいですね」とコメント。3番手の鮫島は「SS1は良い出だしだったんですが、SS2でハーフスピンとアンダーステアが出て、黒原選手と西川選手に離されてしまいました。明日はなんとか追いつきたいですね」と、逆転を狙う。

JN-5クラスは前戦で勝利を挙げた天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)がトップ。2番手には同じくGRヤリスRSの大倉聡/豊田耕司、3番手にはホンダ・フィットからトヨタ・ヤリスに乗り換えた小川剛/梶山剛がつけている。SS1/3のSANPOU(12.31km)は天野、SS2/4のUCHIURA(4.80km)は大倉がベストを獲る展開となったが、トータルのタイム差では天野が9.6秒のリードを築いている。
クラス首位の天野は、「SS1をスタートしてすぐの橋に左リヤをヒットしてしまい、そこからトーがアウト側に出てしまって、ちょっとペースに乗れなかったのですが、幸いタイムは悪くなかったです。明日は滑りやすくなるので、気を付ける必要がありますね」と語る。2番手につけた大倉は、「けっこうやられてしまいましたね。SANPOUは厳しいと予想していたんですが、これ以上のプッシュは無理だったかなと思います。明日は好きなSHIRAKIKOBA(SS5/10)があるので頑張ります」と語る。3番手の小川は「クルマは軽くていいんですが、ちょっとギヤ比が合わなくて苦戦しています。明日はセッティングを変更して、タイム差を測って、次に向けて対策したいですね」とコメント。今季はタイトルを目指し、残り全戦に出場を予定している。今後のためにも様々なセットでのデータを蓄積したいところだ。

3台によるバトルとなったJN-6クラスは、トヨタ・ヴィッツの海老原孝敬/山岸典将がトップ。2番手にマツダ・デミオの中西昌人/有川美知代、3番手にトヨタ・ヤリスの佐藤セルゲイビッチ/中嶌杏里が続いている。海老原は4SSでクラスベストをマークし、中西に対して2分以上のマージンを築くことに成功、前戦に続く勝利に向けて上々のスタートを切った。
初日を終えて海老原は、「ちょっとSS1は失敗したと思ったんですが、色々なことがうまくいって、リードできています。このまま明日もいきたいですね。明日は距離が短くなるので、コンパウンドを柔らかくして、タイムを上げていきたいです」と意気込みを語っている。2番手の中西は「新型コロナウイルスの影響もあり、全然走れていなかったので、今年は仕様を変更して挑んでいます。明日に向けてブレーキパッドを変えて、ABSが入りにくくしたりして、どれくらい走れるかですね。あとはこのクルマの制御に慣れるしかないですね」とコメント。3番手の佐藤セルゲイビッチは、「まったくタイムが出ずにガッカリです」と、不完全燃焼の様子。
「コーナーでの立ち上がりでのアクセルオンで、反応がまったくついてきてくれなくて。新城でもそんな感じだったんですが、今回は顕著です。自分のドライビングを合わせていく必要があるのかもしれません」

4月3日(日)の競技2日目は、30分のサービスを間に挟んで3SSを2度走行する6SS。SS走行距離33.58kmという設定。距離は長くはないものの、初日に比べるとハイスピードなコース設定となる。

レグ2

この日は3SSを2度走行する6SS、SS総距離33.58kmで争われた。選手たちは7時15分から15分間のサービスを挟んで7時30分に出発。オープニングのSS5は8時8分のスタートとなっており、昼からスタートした前日と比べて路面温度は低い状態であることが予想される。ハイスピードなコース設定で、タイヤをどう活かすかもポイントとなりそうだ。

JN-1クラスはコバライネンが再び快走、6SSすべてでベストタイムをたたき出すスピードを披露し、今季2勝目を獲得した。2位にはSS6のHACHIMAN 1(6.07km)でコバライネンの0.8秒差に迫るSS2番手タイムをマークした奴田原、3位には勝田とGRヤリスが続いた。4位はスバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一、5位はこの日ポジションアップに成功した眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス)、6位にはSS7/SS8のBIZAN REVERSE(6.87km)で苦戦を強いられた新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が入った。

コバライネンは「こうやって2勝目を獲得できたことに驚いているよ。ペースノートはラリーを進めるごとにどんどん良くなっていった。新しいステージでもね。それもあって、ノートを信頼して、最初のループからしっかりアタックすることができた。マシンに関しても、トラブルなく良いフィーリングでドライブできたよ。次の久万高原ラリーでもプッシュするよ」と笑顔。次戦に向けても手綱を緩めずにアタックすると語った。2位の奴田原は、「今回はトラブルフリーで走れたことが良かったです。今回コ・ドライバーを務めた山本選手は色々なドライバーと組んでいるだけあって、臨機応変に動いてくれました。タイミングもまったく問題なかったです。やっと1年かかって、スタートラインについた気がします」と、2021年の唐津以来1年ぶりのポディウムフィニッシュに安堵の表情を見せた。3位の勝田は「お昼のサービスでリヤデフを交換して、テストも兼ねて走りました。メカニックはよく頑張ってくれて、20分くらいで作業を終えてくれました。交換したデフが良かったので、久万高原もこれで行こうと思います。次の久万高原こそはタイヤマネージメントをしっかりします」とコメント。気持ちを切り替えて次戦に臨むとした。

JN-2クラスは中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)がクラス首位を譲ることなくフィニッシュ。2WD車のトップで今シーズン2勝目を挙げてみせた。2位にはGRスープラで2戦目のAKIRA/美野友紀が入っている。
前日からのトラブルは解消し切れなかったものの、中平はこの日も6SSでクラストップタイムをマーク。SS6/9のHACHIMANでは4WD勢に食い込む8番手タイムを刻むなど好ペースをみせた。「色々な課題はありましたが、それをクリアして、結果も残すことができて良かったです。2輪駆動のトップで帰ってこられたのが一番良かったですね」と中平は笑顔でラリーを振り返った。2位のAKIRAは朝のステージでタイヤの内圧が上がり切らずに苦戦。ブレーキフィールにも改善の余地があると語っている。「良いところでは中平選手と1kmあたり2秒くらいの差だったので、ようやく土俵に乗れた感じです。スロットルの踏み方を少し工夫しないと、難しいと実感しました。次の久万高原が楽しみです」と、手応えを感じた様子だ。

前日に続き大接戦となったJN-3クラスは、新型BRZをドライブする竹内源樹/木村悟士が6SS中4SSでベストタイムをマークする力走を披露。最終的に山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86)の2.0秒後方まで迫ったが、山田が前日までのマージンを活かして逃げ切り、全日本ラリーでの初優勝を飾った。竹内は前日の5番手から追い上げたものの、一歩及ばず2位。3位には山本悠太/立久井和子(トヨタ86)、4位に山口清司/漆戸あゆみ(トヨタ86)、5位にはSS7でベストタイムをマークした久保凜太郎/丸山晃助(スバルBRZ)が入っている。クラストップの山田から5位の久保まで8.5秒という僅差での戦いとなった。
うれしい全日本ラリー初優勝を飾った山田は、「ここまで苦しいことも多かったんですが、チームは一丸となってクルマを作ってくれましたし、コ・ドライバーの藤井選手も僕をコントロールしてくれて、勝たせてくれました。路面によって速い走らせ方が違うということが分かったので、その点をしっかり整理して次の久万高原に挑みたいです」と、チームへの感謝を口にした。2位の竹内は、「自分としてはしっかり走れましたが、山田選手が思ったよりも粘りましたね。若いのにプレッシャーに崩れず頑張ったと、素直に讃えたいです。レグポイントは3点取れましたし、シリーズを考えれば、この結果は大きいと思います」と山田に賛辞を送った。3位の山本は「本当にコンマ差で走り切ったので疲れました。ここまでの混戦はなかなかないですね。順調にいけば次は新車で臨む予定なので、マイナートラブルなどのないよう、限られた時間でしっかり準備したいです」と、次戦でのGR86投入に言及している。

スズキ・スイフトスポーツ3台による上位争いが繰り広げられたJN-4クラスは、鮫島大湖/船木佐知子が接戦を制して今季初勝利。2位には黒原康仁/松葉謙介、3位に西川真太郎/本橋貴司という順位になった。最終日は、初日をトップで終えた黒原を、西川と鮫島が追う展開でスタート。前日3番手の鮫島はSS5、SS6と連続ベストタイムをマークしてクラス首位に躍り出る。続くSS7は西川が制するが、黒原も負けじとSS8とSS9を獲り、鮫島を逆転してクラストップに返り咲いた。最終SSを前に、黒原と鮫島の差は1.9秒、黒原の15.5秒遅れで3番手西川というオーダーに。そして最終SSでは、鮫島が渾身の一番時計で黒原を再逆転。今シーズン初勝利を飾った。
鮫島は、「黒川選手に一度まくられてしまったんですが、得意のSHIRAKIKOBAで一発頑張りました。思い切り踏んだら、クルマがグダグダになって、危ないシーンもありましたが、なんとか逆転できました」とラリーを振り返ってコメント。次戦に向けてはクルマに見つかった課題を直して挑みたいと語った。2位の黒原は「朝のセクションで失敗してしまった分、午後はミスしないように頑張りましたが、鮫島選手の方が一枚上手で最後に負けてしまいました。今後に向けては色々と考え中です」と悔しさをにじませる。3位の西川は「個人的には手応えがあったのですが、結果がついてきませんでした。周りのペースが上がったのかもしれませんね。褌を締め直して、しっかり対策して、次戦に挑もうと思います」と、今後への意気込みを語っている。

JN-5クラスはGRヤリスRSの天野智之/井上裕紀子がシーズン2勝目を獲得。2位に渡部哲成/橋本美咲、3位に小川剛/梶山剛と、トヨタ・ヤリス勢が並ぶかたちとなった。前日をクラス3番手で終えていた渡部は、車両セットアップを変更しSS5、SS6で連続ベストタイムをマーク。クラス首位の天野や2番手の大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)とのタイム差はあるものの、着実にペースを上げてきている。SS7、SS8は天野が一番時計を刻んでリードを拡大するが、SS9では再び渡部がベストタイム。最終のSS10は天野がトップタイムで締めくくり、今季2勝目を獲得した。クラス2番手につけていた大倉はSS6でブレーキトラブルに見舞われ、SS8を終えてリタイアに。その後大倉は、審査委員会からSSラリー開催規定の『別添5:スペシャルステージラリーに適用される罰則』により、失格の裁定を受けている。
天野は、「渡部選手が速かったですね。彼は前回の久万高原でも速かったですし、コースとCVTとの相性もいいと思うので油断できません。我々は前回からタイヤサイズを変えたので、そのタイヤを活かすセッティングをもう少し考えて挑みたいと思います」と語っている。2位の渡部は「まだまだ課題があります」と、ラリーを振り返る。「2位が獲れて良かったです。クルマのセットアップはもっと詰めることができる部分が見えてきたので、インタバールをしっかり使いたいです」と、コメントしている。3位の小川は「交換したショックの感触が良かったので、あとはギヤ比の問題が解決すれば、少しは戦えると思います。あとはスタートが全然ダメなので、練習します(笑)」と、手応えを語っている。

3台の争いとなっているJN-6クラスは、海老原孝敬/山岸典将(トヨタ・ヴィッツ)が今季2勝目。2位にマツダ・デミオの中西昌人/有川美知代、3位にトヨタ・ヤリスの佐藤セルゲイビッチ/中嶌杏里が入っている。海老原は午前中のセクションでタイヤと路面がマッチせず、思うようにペースを上げられなかったというものの、この日の6SSすべてでベストタイムを並べ、リードをさらに拡大して危なげなくフィニッシュを果たしている。
2勝目を決めた海老原は「午後のセクションでは硬めのコンパウンドのタイヤを選び、安全に走ることができました。久万高原は距離が長いSSがあったり、季節も暑い時期に差しかかります。熱対策をしっかり考えて臨みたいです」と語っている。2位の中西は「クルマは去年と比べたら、ちゃんと走ってくれました。コ・ドライバーの有川選手とは今回が初めての組み合わせだったで、次の久万高原に向けて、もう少しペースノートの精度を高めて走りたいです」と振り返った。3位の佐藤は「CVTをどう扱うかがキモなのだと分かってきましたが、なんともスッキリしない感じで探り探りが続きますね。次の久万高原では、問題の解決策を見つけるのが大きなテーマです。どこが原因なのか明確にしたいです」と、次戦に向けた思いを語っている。

次戦は4月29〜5月1日にかけて、愛媛県久万高原町で開催される久万高原ラリー。初日に6SS、2日目に距離の長い2SSが設定され、計8SS、SS走行距離110.10kmという構成。2021年は実質的に最終戦として開催されており、その際は勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス)が勝利を飾っている。今回の結果を受けて上位3台の最低重量に加算されるウエイトの合計は、コバライネンが+50kg(1位2回/規定上限)、奴田原が+20kg(2位1回)、勝田が+20kg(3位2回)となる。なお、今回のラリーに+20kgで臨んでいた福永は、リタイアしてしまったため-30kgとなるが、もともとの規定最低重量は下まわることができないため、次回参戦時は規定最低重量の1230kgで臨むこととなる。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN1-1 Heikki Kovalainen/北川 紗衣 AICELLOラックDL速心FABIA R5 52:53.2
2 JN1-2 奴田原文雄/山本 磨美 ADVAN カヤバ KTMS GRヤリス 53:38.1
3 JN1-3 勝田範彦/木村裕介 GR YARIS GR4 Rally 53:56.9
10 JN2-1 中平勝也/島津雅彦 DL SYMS R-ART 86 R3 56:47.4
12 JN3-1 山田 啓介/藤井 俊樹 K1ルブロスitzzソミック石川YH86 57:05.6
18 JN5-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・GRヤリスRS 57:46.5
19 JN4-1 鮫島 大湖/船木佐知子 el・DL・正和・ANIKI スイフト 57:53.2
36 JN6-1 海老原 孝敬/山岸 典将 スマッシュ DL itzz ヴィッツ 1:03:52.8

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

イベントフォト

JN1クラス優勝 Heikki Kovalainen/北川紗衣

JN2クラス優勝 中平勝也/島津雅彦

JN3クラス優勝 山田啓介/藤井俊樹

JN4クラス優勝 鮫島大湖//船木佐知子

JN5クラス優勝 天野智之/井上裕紀子

JN6クラス優勝 海老原孝敬/山岸典将