RALLY丹後2021

開催日時:5月21日(金)〜23日(日)
開催場所:京都府京丹後市
スペシャルステージ本数:12本
スペシャルステージ総距離:120.66km
ラリー総距離:293.01km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ
ポイント係数:1.2

全日本ラリー選手権第5戦ラリー丹後は、5月23日(日)にすべての競技日程を終えて、シュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子が初日からのリードを拡大し、前戦唐津に続くシーズン2勝目を挙げた。2位はトヨタGRヤリスでの初表彰台となる勝田範彦/木村裕介、3位にはシュコダ・ファビアR5の柳澤宏至/保井隆宏という結果になった。

レグ1

今大会は丹後半島を南北に走る『丹後縦貫林道』を舞台とするターマックラリー。初日は3SSを2ループする6SS、64.74kmで争われる。SS総距離は120.66kmあり、今シーズン初めてポイント係数1.2がかかるラリーとなった。コースは一部で2車線のハイスピード区間をもち、また一部ではナローでトリッキーなコーナーが待ち受ける。また、競技前の木曜日には雨が降っており、レッキを終えた選手たちは異口同音に、水がどこまで残るのか気にかける様子をみせていた。

JN1クラスは、第2戦新城でのクラッシュで背骨を骨折していたスバルWRX STIの鎌田卓麻と松本優一が復帰。新井大輝はラリーにエントリーしていたものの、WRCクロアチアのクラッシュで背骨を骨折しており、その療養のため欠場を決めている。ファビアR5が2台、GRヤリス4台、WRX STIが3台、三菱ランサーエボリューションが2台という、計11台での争いとなった。

スタート前に小雨が降り始めたSS1、続くSS2を連続で制した勝田が主導権を握るかたちでラリーはスタート。ドライコンディションとなったSS3では福永がベストタイムをマークするも、勝田は最初のループを7.5秒差の首位で終えている。午後のオープニングとなるSS4はウエット路面。ここで首位の勝田は慎重になりすぎ、一番時計の奴田原文雄/東駿吾から13秒遅れのSS4番手タイムに沈み、総合2番手にドロップすることに。代わって首位に立った福永は、残るSS5、SS6でベストタイムをたたき出し、2番手の勝田に14.5秒の差を築いてみせた。SS6終了時点で3番手につけていた奴田原はトランスミッションに違和感があり、この日の最終サービスでギヤボックスの交換を決断。ドグミッションからスペアのノーマルミッションに載せ替えたが、サービスアウト時刻を4分オーバーしたためにペナルティ40秒を科されて4番手に順位を落とし、ファビアR5の柳澤が3番手に順位を上げている。ドライ路面用セットアップで臨んだ鎌田はリズムに乗れず5番手、GRヤリスを駆る眞貝知志/安藤裕一が6番手につけた。また、この日午後のSS4では新井敏弘/田中直哉がコースオフ、左リヤサスペンションを傷めてしまいレグリタイアを決めた。

首位で初日を終えた福永は、「なんとかトップに立てています。午後のSS4では雨がかなり降っていて、ハイドロが起こるレベルでしたから急遽タイヤを替えたりもしました。ベストは獲れなかったんですが、このSSで(ベストタイムの)奴田原選手に食らいつくペースを出せたことで、その後のSS5とSS6につながりました。特にSS5はすごく攻めましたね。その甲斐があったと思います」と手応えを語る。一方の勝田は「SS4はけっこう道が濡れていて、そこでやられてしまいましたね。ブレーキングや高速コーナーでかなり抑えてしまったのもあると思います。明日はドライになりそうですし、セットアップは良いところが見つかっているので思い切って攻めようと思っています」とコメントしている。

トヨタGT86 CS-R3、シトロエンDS3 R3ほか6台がエントリーするJN2クラスは、第2戦新城ラリーで勝利を飾っているヘイキ・コバライネン/北川紗衣が好走を披露。SS1ではパンクを喫しながらもクラスベストタイムをマーク、さらに昼のサービスでマシンをドライ路面に合わせたセッティングに変更し、JN1クラスに食い込むスピードを見せた。コバライネンは初日に設定された6SSすべてを制覇。2番手の中平勝也/行徳聡(トヨタ)や3番手の竹岡圭/山田政樹(フォルクスワーゲン・ポロGTI)に大きく差をつけて初日を終えている。

「攻めつつ慎重に走るという、いいバランスが取れたと思う」とコバライネン。
「SS1では左フロントタイヤをパンクして、思うようにタイムを伸ばせなかった。最初はローグリップ用のセットアップだったけど、中間サービスで新城と同じドライ用のセットアップに変更して、それがとても良かった。午後1本目のSS4は少しウエットだったから注意深く走ったけどタイムも悪くなかったね。明日も同じようにアタックしつつ、注意を怠らないようにしたい」と初日を振り返った。2番手の中平は「コンディションがすごく難しいこともあり、安全に走る方向にいきすぎている気がしますね。インカー動画を見て何が悪いのかチェックします」とコメントしている。

トヨタ86とスバルBRZが鎬を削るJN3クラスは、難しいコンディションとなったSS1を勝負どころと読んでアタックをかけたBRZの竹内源樹/木村悟士がリードを築く展開。2番手の鈴木尚/山岸典将(スバルBRZ)も2度のベストタイムで竹内を追うが、差を詰め切ることはできず。25.4秒差で最終日の勝負に臨む。鈴木からやや離れた3番手には、この日最後のSS6で一番時計をマークしたトヨタ86の曽根崇仁/竹原静香がつけている。

トップの竹内は、「SS1はウエットだったんですが、そこが勝負どころだと思って攻めて走りました。マージンも築くことができ、ペースコントロールができました。明日はドライだと思いますし、デイポイントもあるのでしっかり勝負したいです」と笑顔。追う鈴木は、「SS1とSS4、同じところで竹内選手に負けてしまいました。雨が降っていたことが大きいんですが、それにしても走り負けですね。明日は晴れるので、気持ちよく全開で走りたいです。クルマは唐津の後にちょっと手に入れて、すごく走りやすくて、いい感じです」と、意気込みを見せる。最終日に良い流れで繋げられたと語る曽根は、「クルマはドライではバランスが良いので、それをキープしつつ、コ・ドライバーと明日に向けて色々とチェックしたいと思います」とコメントした。

JN4クラスはスズキ・スイフトスポーツが主力。須藤浩志/新井正和が序盤から快調に飛ばしていき、2番手で追う西川真太郎/本橋貴司を引き離していく。途中、SS1でスピンを喫しながらもクラス3番手につけていたホンダ・シビック・タイプRユーロの香川秀樹/松浦俊郎がリタイアを喫し、代わってスイフトスポーツの鮫島大湖/船木佐知子がポジションアップを果たした。須藤はこの日の6SSすべてでベストタイムをマークする貫録のラリー運び。2番手の西川に40秒以上のマージンを築いて初日を終えた。

トップの須藤は「タイヤチョイスが大きいですね。テストのつもりだったんですが、それが当たりました。新城ではダンロップ勢にやられてしまいましたが、今回は2周目の1本目と2本目で30秒くらい勝つことができました。マージンはありますが、明日もだらけないようにいきたいです」とコメント。最終日に向けても油断なく臨む構えだ。2番手の西川は、「午後は乾いていくと思っていたんですが、走ろうとしたら雨雲がやってきました。須藤選手が柔らかいタイヤを履いていたので、一気に差が開いてしまいました。とはいえまだ半分なので、明日こそはドライセットで反撃できればと思っています」と、巻き返しを図る。3番手につけた鮫島は「序盤はドライとウエットがまだらにあったのですが、午後は路面が均一になったので走りやすくなりました。明日は完全にドライになると信じているので、もう少しきっちりとセッティングをドライに変更して臨みます」と意気込みを語っている。

前戦唐津で優勝した天野智之/井上裕紀子がCVTのGRヤリスRSを持ち込み、注目を集めたJN5クラス。また、前戦までヤリスの5MTで参戦していた内藤学武/小藤桂一は今回CVT車両に乗り換えての参戦となった。その内藤は序盤からハイペースで飛ばし、リードを築いていく。この日の6SS中4SSを制し、2番手の小川剛/梶山剛(ホンダ・フィット)に37.1秒差をつけて初日を終えた。一時クラス2番手を走行していた天野が3番手、前戦で勝利を挙げた大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)が4番手につけている。

内藤は「思ったよりもコースやタイヤがマッチしていました。午前中に失敗したと思った箇所を修正してタイムも上がったので、良かったです。SS6は晴れてドライになったので頑張ったんですが、ベストは獲れませんでした。明日は逆走になるので、差を広げられるのか、詰められるのか、ちょっと不安なところです」と初日を振り返る。2番手の小川はSS3とSS6でベストタイム。「このクルマは今年がラストイヤーなので、頑張って結果を残したいですね。タイヤを固いのに変えたら、だいぶ走りやすくなりました。明日はみんながプッシュしてくると思うので、楽しみです」と小川。思った以上にタイムが出ていると言う3番手の天野は、「コーナリングが速いですね。安定していますし、太いタイヤを履いているので、2WD全体でみても相当速いです。ストレートの遅さは重量が影響していると思うんですが、ここはどうしようもありません。ハンドリングコースでもう少しタイムを稼ぎたいですね」と、印象と手応えを語る。

JN6クラスはトヨタ・ヤリスとアクア、マツダ・デミオなどが参戦。吉原將大/佐野元秀と、水原亜里沙/竹下紀子のヤリス2台が上位を争う展開となった。SS1から吉原がリードを築くものの、水原もSS2、SS5でベストタイムをマークし差を詰めていく。SS5を終えた段階では両者が同タイムでクラス首位となったが、この日最後のSS6では吉原が水原に4.2秒差をつける一番時計でトップの座を固めた。3番手争いは中西昌人/多比羅二三男(マツダ・デミオ)と海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・アクア)がSSごとに順位を入れ替える接戦を展開し、4.6秒差で中西がリードしている。

ここまでデビュー2連勝を飾っている吉原は、「2ループ目の方がリズムは良くなったんですが、全然タイムが伸びずにちょっと苦戦しています。まだ感覚とタイムが比例していません。路面状況に対して恐怖心があって、全体的なスピードが落ちている気がします」と顔を曇らせる。水原も思うようなドライビングができていないとコメント。「SS5で追いついたんですが、SS6でまた引き離されてしまい、タイム差は午前と変わらない状況になってしまいました。明日は前のクルマを目指して頑張ります」と最終日に向けての展望を語っている。中西は、「濡れてる路面で手こずりました。タイヤを変えたのが良かったのか、無難に走れて3番手をキープできました。明日はドライに変えていきたいと思っています。調子もちょっとずつ掴めてきました」と、この日を振り返った。

レグ2

競技最終日はSS7〜SS12の計6SS、55.92km。初日のSS1/4とSS2/3を逆走する2SSに新たなSSを1カ所加え、それを2度ずつ走行する構成だ。丹後半島の天気予報は晴れとなっていたが、スタート前のサービスパークは曇り空で、雨こそ降らなかったものの、この日2本目のSS8では頂上付近で濃霧が出るような状態となっていた。一方で午後は晴れ上がり、路面温度も上昇するようなコンディションに。選手によってはタイヤ選択による手応えの差もある状況となった。

シュコダ・ファビアR5の福永がリードするJN1クラスは、オープニングのSS7、続くSS8とも福永・柳澤のファビア2台が先行する展開に。柳澤は1ループ目最後のSS9で、今大会初のベストタイムをマークした。勝田はR5勢に次ぐ3番手タイムを並べ、総合2番手の座を堅守。2ループ目最初のSS10では一番時計をたたき出している。この時点ですでに十分なマージンを築いていた福永だが、スピードを緩めることはせずにSS11でベスト、最終SSではセカンドベストでラリーを締めくくった。この結果、福永は前戦唐津に続いての2戦連続勝利。2位には勝田、3位は最終SSを制した柳澤が入った。前日ノーマルミッションに載せ替えた奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)はペースこそ落としたものの大きなトラブルなく走り切って4位。復帰戦で探り探りの展開だったという鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が5位、眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス)が6位に入っている。7位にはキャロッセチームからの参戦となった小濱勇希/加勢直毅(スバルWRX STI)、8位に山本悠太/立久井和子(トヨタGRヤリス)というオーダーだ。

2勝目を挙げた福永は、「なんとか優勝できて、良かったと思います。前半良くなかったところも少しずつ調整することができ、だいぶクルマにも馴染んできました。今回のセットを活かしながら、次戦も優勝を狙います」と、さらなる連勝に自信を覗かせた。2位の勝田は「エンジニアやメカニックの頑張りで、クルマはかなり良くなったと思います。でも、次のモントレーに向けてまだまだやれることがあると思いますし、ひとつひとつ課題を解決して次戦に臨みたいですね」と語る。「最後は路面とタイヤのマッチングは悪くなかった感じですが、前半タイムが出なかったですね」と振り返る柳澤。チームの地元でもある次戦に向けては「セッティングもドライビングも、何か向上できる要因を見つけられるよう、帰ってデータをチェックします」と語った。

JN2クラスはヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)が大量リードを築いており、この最終日もSS7〜9と3連続ベストタイムをマークする好走。2ループ目のSS10で左リヤタイヤをパンクしたものの、リスクを避けつつSS11、SS12でベストタイムをマークする力強い走りを披露し今シーズン2勝目を挙げた。2位にはセッティングを模索しタイムアップを果たした中平勝也/行徳聡(トヨタGT86 CS-R3)、3位には初日にクラッシュを喫して順位を落としていた中村英一/鈴木敬一(トヨタ・ヴィッツGRMN)が入っている。

コバライネンは「SS10の前半でパンクして20~30秒くらいロスしたけど、それ以外は問題なかったよ。残りのステージはスペアタイヤもないし、パンクしないよう注意して走った。マシンも、チームも、サエちゃんも、とても良い仕事をしてくれた。ペースノートも良かったし、色々学べたよ」と、ラリーを振り返った。次戦はモントレーに出場するという。2位の中平は、「セッティングを変えたのがピタリとはまって、タイムもよくなりました。すでに前後のタイムが離れていたので色々と試せましたし、前進できたラリーでした。モントレーが楽しみです」と手応えを語っている。竹岡圭/山田政樹(フォルクスワーゲン・ポロGTI)を逆転して3位に入った中村は「天気が良くて路面も一定だったので、思うように攻められました。クルマは乗りやすくなっているので、モントレーに向けては微調整くらいですね。ステージも長いので、老体に鞭を打って頑張ります(笑)」と、笑顔を見せた。

竹内源樹/木村悟士と鈴木尚/山岸典将、2台のスバルBRZが優勝争いを展開するJN3クラス。初日に25.4秒のマージンを築いた竹内がSS7でベストタイムを刻む一方、鈴木はグレーチングでタイヤをカットしてしまい、大きくタイムロス。SS7を終えた段階で竹内と鈴木の差は59.7秒に拡大し、勝負の趨勢は決することに。一方、鈴木の背後には3番手の曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86)が迫る。午後には曽根がペースアップし、この日のスタート時点で37.7秒あったふたりの差は、一時9.9秒にまで縮まることとなった。最後は鈴木が意地のベストタイムでポジションを死守し2位フィニッシュを果たした。優勝した竹内は今シーズン初勝利。

「午前中のマージンがあったので、午後はペースコントロールしながら、レグポイントだけみて戦いました。レグポイントも獲得できましたし、戦略どおりのラリーができました」と竹内。次戦の地元モントレーに向けて大きな手応えを得た様子だ。鈴木は、「SS7ではタイヤの空気がゆっくり抜けていて、途中でリムが外れてしまいました。午後は空まわりって感じですね。曽根選手にだいぶ追いつかれてしまって、厳しかったです。何が良くなかったのか解析して、いいタイムを出せるようにしたいです」と、次戦に向け意気込みを語る。3位の曽根は、次のようにコメントしている。
「最後のセクションは、少しオーバー気味に振って走ったらすごく良かったので、最初からこうすれば良かったなって(笑)。結果は3位ですが鈴木選手を追い詰められましたし、最後のループはすごく楽しめました」

JN4クラスはスズキ・スイフトスポーツ同士のバトル。オープニングのSS7では前日3番手につけた鮫島大湖/船木佐知子が一番時計をマークしたものの、その後は西川真太郎/本橋貴司が5連続ベストタイムをたたき出す力走をみせた。一方、首位の須藤浩志/新井正和はタイヤテストを兼ねて感触を確かめつつ走行するなど、初日に築いた大量マージンを活かした貫録のラリー運びで今季初勝利を獲得した。

勝利を挙げた須藤は「後半はタイヤのテストもでき、マージンを活かして走ることができました。昔の感覚が戻ってきた感じです。このクラス、このクルマで初優勝です。しかもRPN車両でターマックラリーを勝てたのも大きいですね」と、笑顔を見せた。2位の西川は「今日はベストが獲れるようになりましたが、須藤選手が離れすぎていましたね。なぜタイムが出なかった理由が明確になったので、モントレーに向けて解消していけると思います」と、次戦に向けて気持ちを切り替えた。3位に入った鮫島は「1本目にベストを獲れましたが、2周目には西川選手にギャフンと言わされてしまいました。次は少し空くのでクルマをリフレッシュして、セッティングも煮詰め直します」とコメントしている。

内藤学武/小藤桂一(トヨタ・ヤリスCVT)が首位を走るJN5クラスは、GRヤリスRSを投入した天野智之/井上裕紀子が6連続ベストタイムをマーク。前日一度もベストタイムを獲っていない鬱憤を晴らすかのような快走で、クラス2番手につけていた小川剛/梶山剛(ホンダ・フィット)を早々にかわし、首位内藤の7.4秒差まで詰め寄ったが逆転はならず。ポジションを守り切った内藤は5ドアヤリスに乗り換えて初めての勝利となった。2位に天野、3位に小川、4位はマシントラブルに見舞われペースを上げられなかった大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)が入っている。

「土曜日と日曜日では路面やコースの性格が変わり、タイム差もはっきりつくなど、なかなか経験になるラリーでした」と、ラリーを振り返る内藤。「けっこう最後も頑張ったんですが、トップタイムを出すことができなかったので、そこが次の課題ですね。次はモントレーですが、今回の2倍の距離を一気に走るので、集中力も必要です。今回負けてしまったステージの対策をしっかりとして、どんな状況でも勝負できるようにしたいです」と、兜の緒を締めた。2位の天野は「デイ2は全SSベストが獲得できたので、デビュー戦としては良かったですね。コースが基本的に下り主体で、初日の苦戦が嘘みたいに走れました。コーナー速度も安定度も異次元で、シャシー性能はワンランク上だと感じます。(パワーが出せれば)WRCのFFキットカーのようなクルマになると思いますよ。今回はこのクルマの得手不得手が分かったので、良い収穫になりました」と好感触。3位の小川は「もう少しライン取りを勉強しなければならないですね。でも楽しく走れました。ダンロップタイヤも勉強になったし、今後が楽しみです」と、最終日を振り返った。

JN6クラスはトヨタ・ヤリスCVTの吉原將大/佐野元秀と水原亜利沙/竹下紀子が上位争いを展開。オープニングのSS7では水原がベストタイムをたたき出して吉原との差を詰めにかかるが、続くSS8で吉原が一番時計で一気に差を拡大。そのまま残る4SSもベストタイムで制し、デビュー以来負けなしの3連勝を飾ってみせた。2位にはセッティングを試しながらの走りに切り替え順位を守った水原。3位にはSS7で前を行く中西昌人/多比羅二三男(マツダ・デミオ)をかわした海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・アクア)が入っている。

吉原は「今回の丹後は、特にデイ1での天候の変化で自分の実力不足が出てしまい、苦戦しました。セッティングも含めて悪いコンディションでの経験が足りないと実感しました。毎回毎回初めてのことばかりですが、今後に繋げられるようにしたいです。チームは経験豊富な方も多いので、しっかり勉強したいですね」と、勝ってなお反省の弁。2位水原は「午後はセッティングを変えたんですが、それがダメだと分かったことも収穫のひとつでした。自分のドライビングも含めて色々と学ぶことがあったラリーでした。次は疑問点やダメなところを改善して挑みたいです」とさらなるレベルアップを誓う。3位の海老原は「なんとか3位になれて良かったです。いかにスピードを落とさないで攻められるかが勝負になると思います。うまく道を使って走れるようになりたいですね」とラリーを振り返っている。

次戦は6月11日〜13日にかけて開催される全日本ラリー選手権第5戦MONTRE 2021。群馬県高崎市を拠点としたターマックラリーだ。1SSあたりの距離が長いが、ラリーを通じてわずか3SSという変則的な日程で行われる。すでに無観客での開催が発表されており、サービスパークなどへの立ち入りも関係者のみに制限される。5月に予定されていた久万高原の延期日程についてはまだ発表がないが、シーズンとしてはこのモントレーをひと区切りにし、シーズンはグラベルラリー3連戦へと続いていく。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN1-1 福永 修/齊田美早子 アサヒ☆カナックOSAMU555ファビア 1:32:42.5
2 JN1-2 勝田範彦/木村裕介 GR YARIS GR4 RALLY 1:33:12.7
3 JN1-3 柳澤宏至/保井隆宏 ADVAN CUSCO FABIA R5 1:33:38.0
8 JN2-1 Heikki Kovalainen/北川紗衣 AICELLOラックDL速心GT86R3 1:37:01.3
9 JN3-1 竹内源樹/木村悟士 YH CUSCO 大阪冷研 BRZ 1:38:32.4
13 JN4-1 須藤浩志/新井正和 スマッシュ BRIG コマツ YH スイフト 1:40:13.3
19 JN5-1 内藤学武/小藤桂一 KYB DUNLOP YARIS 1:41:22.0
34 JN6-1 吉原將大/佐野元秀 KYB DL アップガレージ Yaris 1:48:06.9

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

イベントフォト

JN1クラス優勝 福永修/齊田美早子

JN2クラス優勝 Heikki Kovalainen/北川紗衣

JN3クラス優勝 竹内源樹/木村悟士

JN4クラス優勝 須藤浩志/新井正和

JN5クラス優勝 内藤学武/小藤桂一

JN6クラス優勝 吉原將大/佐野元秀