雪道の走行で気をつける事(ラリードライバー的考え方) | ラリーというスポーツを精一杯楽しみたいのです

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ラリーを始めてみたい人の道しるべになれば幸いです。

今年は雪が降る時にドッカリ降り積もってしまう年の様ですね。

皆様本当にお気をつけ下さい。

 

さて、雪の走行はとって気を使うもんです。

多くの車両が走っている一般道、信号で止まらなければならない。

歩行者もいるので余裕を持って早めにブレーキを踏み始めるなど。

一般的な注意事項は、いろんなブログとか車関係ページで紹介されていますので

全て割愛します。

 

雪でも豪快に車を操るラリードライバーは、いったいどうやってあんな走りをしているのか?

ちょっと考え方を書いちゃいます。

まず、加速を解説

4輪駆動ならまだしも、2輪駆動の車が速く走る為には?

1㌧くらいの重さの自動車をたったの2輪(年賀状2枚分くらいの面積)

で加速させるには、結構繊細なコントロールが必要です。

 

トラクション(駆動力)をどうやって路面に伝えるのかを

しっかりと頭の中にイメージして走ります。

トラクションとスリップ率はだいたい以下の関係です。

(経験と勘の概念図を書いたので、試験DATAではありません。)

空転率0=走行速度とタイヤの回転が一致している状態とします。

空転率は空転率0の状態で5000rpmのエンジン回転が5500rpmになったくらいを

10%空転率とします。(だいたいの考え方ね)

6000rpmに成ったときを20%空転率と考えます。

 

アクセルを踏み込んでホイールスピンし始めた時にスリップして駆動が抜ける感じが

ありますが、そこからもう少し空転率を上げると駆動力が増します。

しかし、空転率を上げすぎると一気に駆動力が下がります。

 

このコントロールは、アクセルレスポンスの低い低回転数では難しく、

だいたい4000回転以上の右足の動きにリニアにエンジン回転が付いてくる所を

使用します。MAXトルクなんか気にする必要ありません。

どーせスリップしてMAXトルクがかかることは無いのだから。

 

スタートはタイヤを転がすだけのソフトな半クラッチから

車が動き始めたら、上記の空転率10%±5%を意識して走行します。

 

「使用する回転域と空転率」

 

これだけで、かなり雪道走行の自在度が向上します。

 

次にコーナリング

ラリーを見てると、雪道なのにものすごい速度で進入して雪煙を

上げながら斜めに駆け抜けて行きますよね。

ラリーのコーナリングは基本的に全てトラクションオンのコーナリングです。

 

ドライターマックのコーナリングはハンドルを切って前輪の角度を変えてタイヤを転がしていく

方向を変えていく感じでコーナリングしていきます。

雪道でこれでは速く走る事が出来ません。高い速度でハンドル切っても横方向にも

スリップしてしまうからです。ではどうするか?

加速時でお話した様に、トラクションはコントロールする方法があります。

車の向きそのものをカーブの内側に向けてトラクションをコーナリングフォースに

打ち勝つ力として利用します。いわゆるドリフト走行になるのですが、滑らすのが

目的ではなく、カーブのインを離さない力としてトラクションを使う。

他人に教えるときは、「カーブのはるか手前から車の向きを変える」と表現していますが

ちょっとイメージしづらいと思うので絵にしてみました。

この絵ではMR-Sを題材に書いてみましたが、重心位置の多少の変化はあっても

トラクションを駆ける方向は同じです。

4輪駆動車はトラクションが強めに掛るのでここまで横向きにしなくても良いかも知れません。

2輪駆動車はFFなら車体の向きではなく、前輪の向きをトラクション方向にイメージすると

判りやすいかも知れません。

MRは重心位置が後ろ気味なので、立ち上がりでいつまでもカウンターステアが当っている

ように成りますが、加速中はスリップ率を保ったままなので当然こうなります。

 

上の絵は180度旋回をイメージしていますが、90度旋回、ゆるいコーナーも減速の度合いが

違うだけで基本は同じ、速めに向きを変えてトラクション方向を意識してコーナリングです。

全開のままはるか手前から真横を向いて雪煙を上げて高速コーナーを駆け抜けるラリーカーは

こんな感じでコーナリングしてます。

 

最後にブレーキング

上図に有るように、コーナーのはるか手前から向きを変える為、

さらに手前からブレーキングします。

一番大事なブレーキングを最後に持ってきたのは、はるか手前から

ブレーキングと言うだけでは、コーナリングそのもののアクションも手前から行う

事がうまく伝わらないからです。

さて、ブレーキももちろん滑りやすい雪道では強く踏んだら直ぐにスリップします。

ここではロック率と言いましょう。

ロック率100%=完全にタイヤが停止

ちょうど、先ほどの空転率とトラクションの図を逆さまにした感じで

イメージすると良いかと思いますが、実はこちらはコントロールが

超難しいものです。

ちょっと強くブレーキを踏んでしまうと直ぐにロックしてしまう危険があります。

タイヤが完全にロックするとエンジンが止まってしまう為、コントロール不能になります。

実はここでも、エンジンの回転数を高めに維持しておくメリットが出てきます。

低い回転数だとロックしかけると直ぐにエンストしてしまいますが、高い回転数だと

エンジンの回転力が強く簡単にはロックしませんし、タコメーターをやエンジンの音を

頼りに、ロックしそうか?まだブレーキを強められるか?調整する時間的な猶予が

できるのです。

 

おまけでセッティング

ブレーキングではフロントに荷重が移りハンドルが利く様になり

トラクションオンでは駆動輪(リア駆動車)に荷重が乗り慣性に打ち勝つ

これを、しっかりと車のピッチング(前後方法)の動きをつける事でより

荷重移動を安定的にさせるのが、スプリングの低レート化と強めのプリロード。

ギャップや轍、外力に対して反発力変化が少なく、安定したコントロールが可能に

なります。

MR-S用の雪用スプリングレートは1K台のレートで50ミリ以上のプリロードを

かけています。

 

尚、空気圧は低目が良いとよく耳にしますが、私は高めに入れています。

低速の走破性とラリー走行では全く違う入力があるからです。

基本的に斜め&横方向の入力がタイヤの側面に掛る事が多い

雪道の走行ではパンクのリスクを避けるためにエアーは高めです。

雪を掴む効果はトレッドの細い溝(サイプ)がたわんでグリップします。

タイヤそのものを大きくたわませる必要はありません。

また、氷点下5℃以下の場所ではタイヤエアチェックをしません。

バルブを通過した湿気のある空気がバルブ(狭い)通過時にバルブを凍らせて

トラブルを起こす事を回避する為です。(エアコンの膨張弁効果。)

下界で高めの空気圧に設定して後は触らないようにしています。

 

意外とちゃんと考えて走ってるでしょ www